人間関係において、私たちは時々「嫌われたくない」という気持ちから本音を隠してしまうことがあります。特に日本社会では「和を乱さない」ことが美徳とされる場面も多く、自分の意見を抑えてしまいがちです。
しかし、経験上、長く続く良好な関係の基盤には「誠実なコミュニケーション」があると言えます。私の友人は以前、職場で意見を言わず周囲に合わせ続けた結果、ある日突然燃え尽きてしまいました。彼女は「もっと早く自分の気持ちを伝えておけば良かった」と後悔していました。
心理学的にも、自分の感情や考えを適切に表現する「アサーティブ・コミュニケーション」が、精神的健康と良好な人間関係を支えることが分かっています。これは単に自己主張することではなく、相手も自分も尊重した対話の姿勢です。
例えば、友人との食事で行きたくないお店を提案された場合、「そこは苦手なんだ。別の場所はどうかな?」と率直に伝えることで、その場は少し気まずくなるかもしれませんが、長期的には互いを理解し合える関係につながります。
重要なのは伝え方です。「あなたの意見は間違っている」ではなく「私はこう感じた」と自分の感情に焦点を当てると、相手も防衛的にならずに聞いてくれることが多いものです。
本音を伝えるのは最初は勇気がいりますが、一歩踏み出すことで関係が深まることがあります。自分らしさを保ちながら周囲と良い関係を築くバランス。それは日々の小さな勇気の積み重ねから生まれるのではないでしょうか。